親譲りの財産で、きままな生活を送る島村は、雪深い温泉町で芸者駒子と出会う。<br />許婚者の療養費を作るため芸者になったという、駒子の一途な生き方に惹かれながらも、島村はゆきずりの愛以上のつながりを持とうとしない――。<br />冷たいほどにすんだ島村の心の鏡に映される駒子の烈しい情熱を、哀しくも美しく描く。<br />ノーベル賞作家の美質が、完全な開花を見せた不朽の名作。<br />