江戸中期の尊皇論者、山県大弐と出会ったことから藩の内紛にまきこまれた二人の青年武士の、友情の破綻と和解までを描いた初期の中編『夜明けの辻』。<br />元芸妓との結婚を望んだ若侍が、頑固一徹の国家老の伯父を説得するために機略に富んだやり取りをくりひろげる’こっけい物’の佳品『嫁取り二代記』。<br />ほかに『平八郎聞書』『葦』など、山本周五郎の文学的精進のあとを伝える全11編。<br />