煙と客が充満するモツ焼き屋で、隣席の男が語り出した話とは……戦慄の表題作。<br />巨鯨と人間の命のやりとりを神話にまで高めた芥川賞受賞作「鯨神」、すらりとした小麦色の脚が意外な結末を呼ぶ「花魁小桜の足」、村に現れた女祈祷師の異様な事件「西洋祈りの女」、倒錯の哀しみが詩情を湛える「ズロース挽歌」、石汁地蔵の奇怪なる物語「リソペディオンの呪い」。<br />圧巻の迫力に満ちた六編。<br />(解説・篠田節子)