富商の娘を娶り、藩の有力派閥の後継者として出世を遂げる三浦圭吾。<br />その陰には、遠島になってまで彼を守ろうとした剣客・樋口六郎兵衛の献身と犠牲があった。<br />十年後、島から戻った六郎兵衛。<br />だが、二人は敵同士として剣を交えざるを得なくなる……。<br />派閥争いに巻き込まれ、運命に翻弄されていく男たち。<br />彼らは、何を守るために刀を振るうのか。<br />真に大切なものを問う、葉室文学の円熟作。<br />(解説・島内景二)