東海道箱根の関所には、曰くありげな旅人が訪れる。<br />離縁され故郷に帰る女。<br />江戸から夜逃げをした夫婦……。<br />実直な番士武藤一之介は、親友の騎山市之助から関所に関する法外な依頼をされる。<br />一之介は逡巡するも決断する。<br />友の人生の岐路に際し何もしないのは裏切りも同然。<br />たとえこの身に害が及んでも必ず友を助けなければならない――。<br />関所をめぐる人間ドラマを描いた圧巻の人情時代小説。<br />(解説・末國善巳)