看板娘のお瑛と兄の長太郎が営む三十八文店の「みとや」。<br />のんきで憎めない兄が仕入れる品々は、毎度ちょいとした騒動を巻きおこす。<br />その日も長太郎は、仕入れの荷も解かずに、笑顔で出掛けていったのだが……。<br />残された板紅や水晶に込められた優しい思いとは。<br />かけがえのない思い出と喪失を胸に、それでもお瑛は生きていく。<br />兄と始めた、小さいけれど大切なこの店で。<br />シリーズ第三弾の六編。<br />(解説・大矢博子)