敷島兄弟は通化の地に集う。<br />苦い再会だった――。<br />満州国はわずか十三年で理想の欠片(かけら)さえ失い、重い鉄鎖と化した。<br />昭和二十年八月九日、ソ連軍が遂に侵攻を開始する。<br />轟音とともに崩壊してゆく「王道楽土」。<br />男たちは吹きすさぶ風の中で自らの運命と対峙する。<br />日本そして満州、二つの帝国が破れ、残ったものとは何か。<br />船戸与一が最期の炎を燃やし描き切った大叙事詩、ここに完結。<br />(解説・井家上隆幸)