北からの光線が射しこむ信濃追分のY邸。<br />建築士・青瀬稔の最高傑作である。<br />通じぬ電話に不審を抱き、この邸宅を訪れた青瀬は衝撃を受けた。<br />引き渡し以降、ただの一度も住まれた形跡がないのだ。<br />消息を絶った施主吉野の痕跡を追ううちに、日本を愛したドイツ人建築家ブルーノ・タウトの存在が浮かび上がってくる。<br />ぶつかりあう魂。<br />ふたつの悲劇。<br />過去からの呼び声。<br />横山秀夫作品史上、最も美しい謎。<br />