温泉宿で一夜を過ごす、2組の恋人たち。<br />静かなナツ、優しいアキオ、可愛いハルナ、無関心なトウヤマ。<br />裸の体で、秘密の心を抱える彼らはそれぞれに深刻な欠落を隠し合っていた。<br />決して交わることなく、お互いを求め合う4人。<br />そして翌朝、宿には一体の死体が残される――恋という得体の知れない感情を、これまでにないほど奥深く、冷静な筆致でとらえた、新たな恋愛小説の臨界点。<br />(解説・中村文則)