安城民雄は、駐在として谷中へと還ってきた。<br />心の傷は未だ癒えてはいない。<br />だが清二が愛した町で力を尽くした。<br />ある日、立てこもり事件が発生し、民雄はたったひとりで現場に乗り込んだのだが――。<br />そして、安城和也もまた、祖父、父と同じ道を選んだ。<br />警視庁捜査四課の一員として組織暴力と対峙する彼は、密命を帯びていた。<br />ミステリ史にその名を刻む警察小説、堂々たる完結篇。<br />(解説・吉野仁)