孤高の柔道家、羽良勝利(ハラショウ)を取材して、ノンフィクションを執筆しようとした小説家の「私」。<br />だが、いくら踏み込んで話を聞こうとしても、巧みにかわされハラショウの核心にはたどり着けない。<br />かつて住んでいた街や友人を訪ね、あの手この手で立ち向かっていくうち、しだいに私の心は――。<br />二人の焦れったい心の攻防が、各章冒頭の柔道技と重ねられて表現されていく傑作恋愛小説。<br />(解説・小池真理子)