都の闇に跋扈する、人ならぬもの鬼の如きもの――。<br />妖異が見える異能の絵師土佐光信は、将軍足利義政から、人心を惑わす妖物の正体を解くよう命じられる。<br />御所をさまよう血塗れの女や、禍々しい「呪詛屏風」、影を喰らうものや、人の泣き声を餌にするもの。<br />将軍の心に取り憑き、裏から世を操る「鬼」……。<br />光信が怪異の謎を突き止めたとき、真に怖ろしいのは妖物か人か――。<br />室町ミステリー。<br />(解説・細谷正充)