中学を出て、その日暮らしを三年半。<br />十代も終わりに近づいてきた北町貫多は、心機一転、再出発を期し、横浜桜木町に移り住み、これまでの日雇いとは異なる造園会社での仕事をはじめた。<br />三週目に入って、事務のアルバイトとして貫多と同い年の女の子がやってきた。<br />寝酒と読書と自慰の他に特に楽しみのなかった貫多に心を震わせる存在が現れたのだった。<br />著者初の幻の傑作長編、ついに文庫化。<br />(解説・山下敦弘)