謎の位牌を握りしめて、百合江は死の床についていた――。<br />彼女の生涯はまさに波乱万丈だった。<br />道東の開拓村で極貧の家に育ち、中学卒業と同時に奉公に出されるが、やがては旅芸人一座に飛び込んだ。<br />一方、妹の里実は地元に残り、理容師の道を歩み始める……。<br />流転する百合江と堅実な妹の60年に及ぶ絆を軸にして、姉妹の母や娘たちを含む女三世代の凄絶な人生を描いた圧倒的長編小説。<br />(解説・小池真理子)