三十代のおえんは独り長屋で暮ら しながら〈縁結び〉の仕事をして いる。<br />評判はよいがいささか難し い話も舞い込んで……。<br />息子を一 人で育てる女の縁をとりもつ「結 び観音」。<br />腕のいい魚売りがなぜ か縁談に尻ごみする訳とは(「鯛 の祝い」)。<br />他、「神かけて」「夕 明かり」「余寒」表題作の全六編。<br /> 人の営みの陰影を〈ご縁の糸〉が 浮かび上がらせ、照る日曇る日の 心の機微をしみじみ描く時代小説。<br /> (解説・大矢博子)