昭和21年7月。<br />憧れのまっ白な軟式野球ボールを手に入れるため、山形から闇米抱え密かに東京へと向かった国民学校六年生の野球狂の少年たち。<br />その大冒険は、疲弊と混乱の極みに達した東京の街を舞台に、一進一退のシーソーゲームとなって展開していく。<br />眼前に広がる敗戦の実像、しかし人々はなおしたたかに生きている。<br />戦後とはいったい何だったのかを少年たちの視点から繙(ひもと)いた永遠の名作。<br />(解説・井筒和幸)