私は、なにをしているんだろう。<br />どうしたら「私」でいられるんだろう? カトリック系女子高校に通う、三人の少女、那由多、淑子、翠。<br />性格の異なる三人の「私」は、家族、学校、男たちの中にあって、それぞれが遠いはるかを、しずかに深くみつめている。<br />「秘めごと」をかかえる彼女たちの微笑の裏側の自由。<br />甘やかな痛みの底に眠る潔くも強靭な魂。<br />自分を生き抜いていくために「私」が求めていたことは――。<br />記念碑的青春小説。<br />(解説・穂村弘)