2001年の春、僕は大学院に進んだ。<br />専門はフランス現代思想。<br />友人の映画制作を手伝い、親友と深夜にドライブし、行きずりの相手とセックスをする日々を送りながら、修士論文の執筆が始まる。<br />テーマはドゥルーズ――世界は差異からできていると唱えた哲学者だ。<br />だが、途中までしか書けないまま修論の締め切り(デッドライン)が迫ってきて……。<br />気鋭の哲学者が描く青春小説。<br />芥川賞候補、野間文芸新人賞受賞作。<br />(解説・町屋良平)