江戸の金の流れを握る。<br />それはお上を動かす力になる――。<br />甲斐の農家から出て江戸で名を挙げた茂十郎は、永代橋の崩落事故で妻子を失ってしまう。<br />だが悲嘆を糧に、茂十郎は立ち上がる。<br />大胆不敵な資金集め、流通の構造改革、旧弊の刷新。<br />すべては江戸の繁栄のために――。<br />既存の枠を超えた発想と、強引なまでの辣腕で「狼」と畏怖され、歴史の闇に消えた謎の経済人を描く。<br />新田次郎賞受賞。<br />(解説・本郷和人)