花も鳥も風も月も――森羅万象が、お慕いしてやまぬ女院のお姿。<br />なればこそ北面の勤めも捨て、浮島の俗世を出離した。<br />笑む花を、歌う鳥を、物ぐるおしさもろともに、ひしと心に抱かんがために……。<br />高貴なる世界に吹きかよう乱気流のさなか、権能・武力の現実とせめぎ合う’美’に身を置き通した行動の歌人。<br />流麗雄偉なその生涯を、多彩な音色で唱いあげる交響絵巻。<br />谷崎潤一郎賞受賞。<br />（解説・高橋英夫）
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