昭和三十八年十月、東京浅草で男児誘拐事件が発生。<br />日本は震撼した。<br />警視庁捜査一課の若手刑事、落合昌夫は、近隣に現れた北国訛りの青年が気になって仕方なかった。<br />一刻も早い解決を目指す警察はやがて致命的な失態を演じる。<br />憔悴する父母。<br />公開された肉声。<br />鉄道に残された’鍵’。<br />凍りつくような孤独と逮捕にかける熱情が青い火花を散らす――。<br />ミステリ史にその名を刻む、犯罪・捜査小説。<br />