混沌の大地―イスラムの女と僕の憂鬱―
主人公の「僕」(ヨシオ)は、フランス語と英語の翻訳・通訳者として雇われて、アルジェリアにやって来た。
「僕」はコンスタンチンヌから車で二時間近く離れた野営地にある事務所で働くことになった。
周囲はテロの脅威から守るために高い塀とライフルで警備されていた。
「僕」は、初めて見るアルジェリア人と、イスラムの生活習慣、宗教に大きな興味を持つ。
また、身近で働くイスラムの女性に魅了され、やがて、イスラムの若い女性、イマネと出会う。
日本の企業はムスリムの女性をタブー視する傾向があった。
多くは、イスラム教を忌避した。
「僕」の行動は日本人の目から批判すべきものと映る。
「僕」は自分の拠り所のない不安定さに常におびえていたが、職場の人間から嫌われても、外国人からは好かれ、多くの友達を持つにいたった。
交流を深めるイマネと、ひょんなことから、イマネの家庭に招待されることになった。
友人も同行するはずだったが、結果、当日僕はイマネと二人で会うことになる。
そしてこれが、最後にはイスラムのタブーに触れることになり………。
この体験談では、孤独者としての「僕」と企業倫理との間で生じる様々の問題、人間性を重視した考えと、個人の自由を営利のために否定する立場での葛藤が、アルジェリアの若い女性との出会いによって、屈折し、表面化する。
日常生活に宗教意識を持たない日本人と、イスラム教によって生活の隅々を支配されているアルジェリア人たちの違いが、僕とイマネや事務所で働く女性たちの姿を通して、ありありと浮かび上がってくる作品。
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