消えた街
成木文が贈る回想風創作小説2編。
<表題作『消えた街』>…、自分の心の中に消えた街を、これからさきふたたび訪れることもない。
つとめて、 友里はそれだけを反芻した。
もちろん、地蔵のことなど、次女にも長女にも語ってきかせるようなことは絶対にない。
<同時収録『虹色のデッサン』>…、記憶とはあてにならぬものでもある。
まるで、夢のように頼りなく事実からは遊離し、ちぐはぐに加工されたり、抜けたりしてやまない。
空想虚言みたいに、本人が真偽を意識できないまま虚偽を思いつく場合もある。
遠い記憶も近い記憶も、なるべくなら思いおこさないほうがいい、と、相場は最近考えるようになった。
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