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見えなくても、きこえなくても。

「指先をはさんで、手話を伝え合う触手話は、ふたりの日常会話法である。
五十二歳の梅木久代さんには、視力、聴力がない。
言葉を覚える盛りの、乳児の時に聴力を失ったために、発声もうまくできない。
その後、視力が三十二歳から低下しはじめ、四十代の後半で全盲になってしまった。
つまり、見る・聞く・話すが不自由なのである。
目の見えない彼女には、どんなに上手に健常者の好彦さんが手話をしても見えない。
だから手をつないで、手話をする。
彼女はつながれた手の動きから、相手の手話の意味を読み取るのだ」(プロローグより)。
二歳で聴力を失い、四十代で失明。
結婚、子育て、離婚、果ての自殺未遂…。
絶望の淵に立たされたひとりの女性の愛と勇気、そして、光と音を持たない妻を支える夫との絆を描くノンフィクション。
写真:安部まゆみ、主婦と生活社刊。




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