東京から流れつき、どこに行くあてもない「私」は日の当たらない蒸し暑いアパートの一室でモツを串に刺し続けた。<br />向いの部屋に住む女の背中一面には、極楽の鳥、迦陵頻伽(カリョウビンガ)の刺青があった。<br />ある日、女は私の部屋の戸を開けた。<br />「うちを連れて逃げてッ」──。<br />圧倒的なストーリーの巧みさと見事な文章で、底辺に住む人々の情念を描き切る。<br />直木賞受賞で文壇を騒然とさせた話題作。<br />寺島しのぶ主演の映画化も、日本映画大賞など数々の賞を受賞。<br />