夫婦の気持ちのすれ違いを巧みに描いた「冬隣」、江戸に出てきた若い百姓が商人として成功した後に大きなものを失ったことに気づく表題作「あんちゃん」など、江戸を舞台にしながら、現代にも通じる深いテーマの数々を、急逝した時代小説の名手が描ききる。<br />冷えた心に、ほんのりと明かりを灯す、珠玉の全七話。<br />