大奥女中と法華宗僧侶の乱れた性の証拠を掴むべく、密偵として大奥に忍び込んだ十九歳の登美にあちこちから魔の手が迫る。<br />部屋住みの旗本三男坊、新之助は大胆に敵を翻弄し、事態はますます息をつかせぬ大攻防へ。<br />両陣営とも犠牲者が続出。<br />一方、家斉の病状はいよいよ重篤になってゆく。<br />衝撃の結末は──。<br />全てを見届けた新之助の目には、はかない陽炎が揺れていた。<br />史料に基づくリアルさと小説家の想像力が豊かに溶け合った、極上の娯楽小説。<br />