祖父の危篤の報せを受け、僕は海をわたり北へと向かった。<br />辿りついたのは父が捨てた町・紋別。<br />そこで伯父から失踪した父を探すように言われた僕は、記憶をたどるうち「北海道とナイチ(内地)」で父が見せた全く別の面を強く意識しだす。<br />海峡を越えて何を得、何を失ったのか、居場所はあったのか。<br />それは30を過ぎても足場の定まらない自身への問いかけへと重なってゆき……。<br />関西に生まれ育ったナイチ2世の僕が、家族と自らの存在に向き合う傑作長篇。<br />