仇討(あだうち)といっても、理由はさまざま。<br />この短篇集のキーワードは「色欲」と「仇討」。<br />殿のご寵愛ただならない美男の小姓が仲間に殺された、殺人をおかし仇討におびえながらも女色にふける若者、同僚の妻への横恋慕など、それぞれの内情があり、仇討のために狂わされる人生がある。<br />人間の本性をしたたかに描き出す傑作短篇集。<br />それにしても、色子と呼ばれる若者を抱かせる陰間茶屋、尼姿の娼婦がいる比丘尼(びくに)宿と、江戸時代の性風俗の豊富さは驚きです。<br />