生涯、2万に及ぶ発句。<br />稀代の俳諧師、小林一茶。<br />その素朴な作風とは裏腹に、貧しさの中をしたたかに生き抜いた男。<br />遺産横領人の汚名を残し、晩年に娶(めと)った若妻と荒淫ともいえる夜を過ごした老人でもあった。<br />俳聖か、風狂か、俗事にたけた世間師か──。<br />およそ俳聖という衣装の似合わない、底辺を生きた俳人の複雑な貌(かお)を描き出す傑作伝記小説。<br />