漆(うるし)の実のみのる国
天よ、いつまでわれらをくるしめるつもりですか。
改革はままならない。
上杉鷹山の孤独と哀しみを明澄な筆でえがきだす下巻。
時代は商人の世に移りつつあり、参勤交代などの費用(かかり)は財政を容赦なく圧迫する。
けれど漆は生長し、熟しはじめていた。
その実は触れあって枝先でからからと音をたてるだろう。
秋の野はその音でみたされるだろう──。
物語は、いよいよふかく静かな響きをたたえはじめる。
忘れがたい読後感を残すこの作品は、藤沢周平の絶筆である。
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