夏。<br />北海道。<br />瀟洒なリゾート・ホテル。<br />共通の‘女主人’を、それぞれの思いで待ち受ける、美しく不安な若い男女。<br />ときに反発しあい、ときには狎れあいながら、たゆたゆと待つ日々が過ぎてゆく。<br />女主人の望みはいったい何なのか? 愛と性のかかわりの背後にうごめくエゴイズムや孤独感、焦躁感、そして混沌とした愛欲の世界をあざやかに描いた表題作は、第100回直木賞受賞作。<br />藤堂作品の原型がここにある。<br />他に「鳥、とんだ」「三月の兎」の二篇を収録する。<br />