山の民「マタギ」に生まれた青年・松橋富治は、身分違いの恋が災いして秋田の山村を追われ、その波乱の人生がはじまる。<br />何といっても圧倒されるのは、山のヌシ・巨大熊とマタギの壮絶な対決。<br />そして抑えつけられた男女の交情の色濃さ。<br />当時の狩猟文化はもちろんのこと、夜這い、遊郭、炭鉱、男色、不倫など、近代化しつつある大正年間の「裏日本史」としても楽しめる冒険時代小説です。<br />長篇小説ならではの面白さに溢れた、第131回直木賞受賞作!