もう若くないのはわかっているが、疲れる──。<br />三十代後半、家庭では大黒柱を演じ、仕事は上から下からの難題を突きつけられつつ、かすかなモラトリアムをしのばせる世代。<br />ダムに沈んだ故郷をでて二十年がたち、旧友の死をきっかけに集まった同級生それぞれの胸にある思いは「帰りたい、故郷に」。<br />人生の重みにあえぐものたちを、励ましに満ちた視線で描く表題作はじめ三篇を収録。<br />現代の家族、教育をテーマにつぎつぎと話題作を発信しつづける著者の記念碑的作品集。<br />