自殺者がのこした音楽テープは遺言なのか、それとも怨念なのか。<br />曲を聴いた児童はひきつけを起こし、押入れのチェロはひとりでに弦をはじく。<br />送り主は松本の旧家で作曲をたしなみ、同人誌を発行する「高等遊民」。<br />気味の悪さにテープはうち捨てられるが、音楽だけ別のテープへと乗り移る。<br />死者の真意をさぐるために音楽教師の瑞穂は奔走、その途上、彼女自身が封印してきた過去があばかれることに……。<br />『女たちのジハード』で直木賞受賞の著者による異色ホラー長篇。<br />