満1歳の息子を喪った「私」は、休職届を出し、旅に出た。<br />前妻のもとに残してきた娘とともに。<br />かつて「私」が愛した妻もまた、命の尽きる日を迎えようとしていたのだ。<br />恐山、奥尻、オホーツク、ハワイ、与那国島、島原……‘この世の彼岸’の圧倒的な風景に向き合い、包まれて、父と娘の巡礼の旅はつづく。<br />決して消えることのない傷を抱えた時、いかにして人は人生を再開させるのか。<br />鎮魂と再生への祈りを込めた、熱い傑作の誕生。<br />