「私たちはまず離婚し、いや、まず結婚してから離婚し、それでお互い気楽になって同棲をしましたが、現在はそれも打ち切って別居し、彼女は別の男のものになっているのですから。<br />してみれば私とは全然無関係の女であるわけで、無関係な女と痴話喧嘩をするほどばかばかしいことはありません」……奇妙な元夫婦の‘家庭’に不思議な縁で怪しい男女が集まって織りなす、なんとも風変わりな雑居生活。<br />直木賞の名作「離婚」のその後をユーモアとペーソスで軽妙に描く出色の佳篇ほか、四篇。<br />