絵描きの「俺」の趣味はランパブ通い。<br />高校を中途で廃し、浪費家で夢見がちな性格のうえ、労働が大嫌い。<br />当然ながら金に困っている。<br />自分より劣るとしか思えない絵を描く知人の吉原は、認められ成功し、自分が好きな女と結婚している。<br />そんな吉原に金を借りにいく俺なのだが……。<br />現実と想像が交錯し、時空間を超える世界を描いた芥川賞受賞の表題作と短篇「人生の聖」を収録。<br />町田康ならではの、息もつかせぬ音楽的な文体。<br />読むことがめくるめく快感、そんな作品です。<br />