離婚を機にボクシングジム通いを始めた会社員、立原章司40歳。<br />ビルの内部設備を請け負う会社で、淡々と仕事をこなし定時退社する男は、何の前触れもなく虚無感に支配され、何かをぶっ毀してみたくなった。<br />ボクシングで鍛えあげた精神と肉体は、いまや凶器だ。<br />取引先のビル立ち退きを巡る抗争に巻き込まれた立原は、会社も極道も警察も手がつけられないほどに凶暴化していく。<br />高揚感に包まれながら──。<br />圧倒的な筆力で男の心の闇を抉る、ハードボイルドの傑作長篇!