この男、化けるかもしれねえ――。<br />三度笠、縞の合羽に柳の葛籠(つづらこ)、懐には百両の大金。<br />今戸の貸元、恵比須の芳三郎の名代として成田、佐原へ旅する音次郎。<br />待ち受ける試練と、器量ある大人たちが、世の中に疎い未熟者を磨き上げる。<br />仁義もろくにきれなかった若者が旅を重ねて一人前の男へと成長してゆく姿をさわやかに描いた、股旅ものの新境地!