黒パン俘虜記
「軍隊は運隊だ」という言葉どおり、運悪く、敗戦と同時に送りこまれたモンゴルの収容所は、まさにこの世の地獄だった。
軍律の崩壊した集団に君臨するやくざあがりの大ボス・小ボス。
食糧といえば、黒パンとわずかなスープ、それも搾取され、強制労働にかり出される毎日。
栄養失調、疾病、私刑で、つぎつぎと失われる生命。
襲いくる不条理に耐えながら、帰国を待ち侘びる日々を支えてくれたのは、小説と映画と流行歌への熱い思いだった。
死んでいった戦友たちへの祈りをこめた第89回直木賞受賞作。
更新中です。しばらくお待ちください。