無外流の剣士として高名だった亡父から、娘ながら秘伝を受けついだ路(みち)。<br />藩の討手に選ばれながらしくじって、嘲笑され左遷された曾根兵六に、路はその秘伝を教えようとする。<br />曾根は、亡父の秘蔵弟子だった。<br />玄鳥=つばめが思い起こさせる、武家の娘の淡い恋を描いた表題作。<br />藩主の御前で試合にやぶれ、自暴自棄になった青年剣士の再生を描く「三月の鮠(はや)」。<br />酒の失敗で、身の不運をかこつ下級武士の心を鮮やかに描く「浦島」など、珠玉の全5篇。<br />