京都の旧家に嫁いだ榊原美津子は、子供に恵まれずに十数年。<br />本家の跡取りの出産を期待される重圧に耐えかね、妊娠していると言ってしまった美津子は、産院から新生児を連れ去ろうとして看護師・潤子に見咎められる。<br />その後まもなく、榊原家では幸せそうな夫妻と赤ん坊を囲んで、盛大な祝宴が開かれていたが…。<br />子に恵まれない女、子を奪われた女、子を望まない女──女たちの暗い情念を描いた傑作。<br />第19回サントリーミステリー大賞・読者賞ダブル受賞作!