女にもてない「私」がようやく女とめぐりあい、相思相愛になった。<br />しかし、「私」の生来の暴言、暴力によって、女との同棲生活は甘いどころか、どんどん緊張をはらんだものになっていく。<br />金策に駆け回り、疎遠な友をたずね、断られれば激昂し…金をめぐる女との掛け合いが絶妙な表題作に、ぬいぐるみを溺愛する女との関係を描く「焼却炉行き赤ん坊」を併録。<br />爆笑を誘うほどに悲惨な、二つのよるべない魂の彷徨。<br />新しい私小説がここから始まる。<br />