自動車事故の巻き添えで、恋人を失った中井英郎。<br />一周忌を終えても喪失感は癒えない。<br />彼女の母親も同じ想いから、中井との付き合いを大切に続けていた。<br />ある雪の日、恋人との甘美な想い出が刻み込まれたベッドで眠りにつこうとしているときに事は起こった。<br />「明りを消して、英郎さん…」。<br />疚しさに眼をつむり、亡き恋人の母との一瞬の交情を描いた「雪の夜」ほか、死とエロティシズムが交錯する濃密な8篇の寓話。<br />官能小説の第一人者が描く、静謐のなかのエロス。<br />