三十年近くコンビナートの荷役をし、酒を飲むだけが楽しみ。<br />そんな男のもとに、十五夜の晩、偶然、転がり込んだ美しい女──出会うはずのない二人が出会ったとき、今にも壊れそうに軋みながらも、癒しのドラマが始まる。<br />表題作ほか、青少年の鑑のような高校生が、ふと足を踏み入れた極道の世界で出会ったヒットマンとの、短くも充実した日々──「銀色の雨」。<br />子供のころ、男と逃げた母親との再会をイタリアを舞台に描く「ピエタ」など、‘浅田マジック’が冴える全七篇。<br />