土地の人々が「奥山」と呼ぶ普賢岳に続き、寛政四年三月一日、島原の「前山」が火を噴いた。<br />大噴火は地震と津波を誘発し、肥前島原藩七万石の城下町は一夜にして土砂に埋まった――。<br />大自然の猛威を目の当たりにし、恐怖におののく藩主、武士、医師、町民の姿を活写する表題作の他、歴史短篇小説の傑作三篇を収録。<br />