青い海の色をしたアクアマリン──床にオガ屑を撒いた酒場で出会ったのは、海で行方不明になったらしい息子を探し続ける医者だった。<br />赤い血の色をしたガーネット──渋谷の中華料理屋の主人が貸してくれた宝石は、スランプだった「私」に赤い色にまつわる記憶を呼び覚ます。<br />乳白色の月の色ムーン・ストーン──その石を手に入れたときから、心に生まれた白い核。<br />若き女性編集者と情事を重ねながら、その核心を追い求める「私」。<br />三つの宝石に託して語られる、作者絶筆の三部作。<br />