「どうぞ、お上りあそばして」と若い未亡人は客を迎えた。<br />南麻布の高台の洋館──そこには老夫婦と、早逝した息子の嫁とが住んでいる。<br />美しい未亡人に惹かれてか、その家のサロンには次々と青年たちが出入りする。<br />老夫婦はなぜ嫁に青年たちを歓迎させるのか? 奇妙な豪邸の正体を暴く表題作。<br />キャリア女性ばかりが住む、一見華やかな世田谷の独身アパートの浴場の湯槽で起こった殺人事件に潜む人間関係を描く「獄衣のない女囚」。<br />昭和の色濃いサスペンス2篇!