舞台は東北の小藩、海坂(うなさか)藩である。<br />ある朝、小川のほとりで蛇に咬まれた隣家の娘を少年が救う場面から、この物語ははじまる。<br />清流と木立に囲まれた、静かな城下組屋敷。<br />少年の日の淡い恋と友情。<br />そして突然の、父の非業の死。<br />微禄の武士となった青年は、ふりかかる悲運と闘い、父の仇を討つべく、己を鍛えつづける。<br />いまや遥かな存在となった初恋の女性への思いを胸に……。<br />ドラマ・映画の原作にもなった、藤沢作品の代表的傑作。<br />